Dec 25, 2013

航路

通勤電車に乗ると、顔ぶれが半分以上も変わっている
ああ、年の瀬だな、と気づく


               *


家族を、家を、別様の船に変えて水面を走らせたい
そういう密かな想いを持っていた
震災と原発事故とが、その想いに拍車をかけたように思う

沈まぬよう、俺も相方もぶっ通しで走り続けた

軽やかに滑るヨットでも豪奢な客船でもない
それでも、驚くほど多くの人達がこの船に乗り込み
見たこともないような航路を進んだ

困難な航海ではあっても
喜びと驚きが、毎日、俺たちを鼓舞してくれている
まだまだ、これからも続く


               *


オーブンを多用するようになった
そろそろ、加熱の特性なども分かってきて
あれこれ考えながら調理を試すのが面白い
鶏の胸肉のシンプルなグリルが
最近一番のお気に入りメニュー

ハーブソルトを摺りこんで冷蔵庫で寝かせた胸肉に
オイルを刷毛塗りして焼くだけの単純な料理なのだけれど
上手く加熱してやると中身はしっとりと柔らかく
皮目はパリっとして香ばしい
適当な厚さに切ってマスタードを付けても美味しいし
サンドイッチにしてもたまらなく美味い
焼く前に塗るオイルに溶かしバターやガーリックを加えたり
黒胡椒のアクセントを効かせても良い


               *


ホウボウのアクァパッツァはとても美味しい料理だ
細かな繊維の身質は上品でいて味が濃く
皮目の脂も独特の旨味を湛えている

骨だけになった皿が帰ってくると
とても嬉しい

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Jun 24, 2012

東北へ

東北へ行ったことがない
20年程前の夏、京都から延々高速を走って
青森まで行ったことがあるから
正確に言えば「通過」はしている

車窓から見た花火が綺麗だったことや
サービスエリアで聞いた東北弁のこと
青函連絡船が動かず、青森駅まで歩いたこと
そんなことの記憶がぼんやり思い返されるだけで
土地そのものの記憶はない

引越しを間近に控え
準備などでバタバタしているのだが
当分の間旅行に行けそうもないから
思い切って出かけることにしたのだ
初めての東北へ

仙台に一泊するだけなのだが
とてもとても楽しみだ

それと、かなり迷ったのだけれど
石巻にまで足を伸ばして
海岸沿いの景色を見てこようと思う

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Jun 23, 2012

音ひと料理・みみくちはな

NHKは4万人が抗議するうねりを報じなかった
よくよくこのことを覚えておこうと思う
こんなにも多くのひとたちが
「ふざけんな」と憤り、声をあげているこの事実を
一声も、一行も報じなかった
そのことをよくよく覚えておこうと思う

まだまだ増える
これからだ


               *


「料理は政治的なものである」というアイデアは
ピエール・ブルデューを読むうちに思いついたものだ
しかしもう、ブルデューが何を書いていたのか思い出せない

動物の骨格標本を作る際には
組織を外したものを地中に埋めるなどして
微生物や虫の力を借りることが多いそうだ

俺の頭の中も
今はまるで骨格標本のようになっている
「ブルデュー/ディスタンクシオン」という札だけが残っていて
そこにあったはずの肉は綺麗に取り去られている

土の中に横たわり
這いまわる虫やバクテリアに身を屠らせ
時が過ぎるのを待つような
荒涼とした日々を経て、猶
「料理は政治的である」というアイデアは
骨となり、俺の頭に残った


               *


昨年の今頃だったと思う
チェルノブイリ以降の食の安全について書かれた本を
パラパラと流し読みしていた
一人で読んでいるうち
不安と孤独でみるみる心が萎み
都内で不安を抱えながら子育てする母親たちの心情を想い
しばらく涙を止めることが出来なかった

放射性物質による汚染や内部被曝を
「過度に心配する」必要など無いと言いながら
都市部で孤独と不安に喘ぐ母親たちを
心無い言葉で罵るような人たちが沢山いたし、今もいる

彼らには料理が分からないだろう
料理とはいったい何であるのか
千の言葉を費やしても、それが通じないかもしれない

でもそこを「やつら」にして切り捨てるのではなく、含めて
料理は政治的であると、改めて言いたい


               *


3.11以降
料理が政治の色を帯びているということは
なんら特別なことではなく
「常識」になってきているように思う
でもその「常識」と化す状況に対しては
微妙な違和感を感じている

俺は、そこにもっとパンクロック的なものが必要だと思っている
殴られても食って掛かり
負けるとわかってても大声で「クソ野郎」と口にするような
バカでひねくれてて喧嘩が弱い、あの感じが


               *


まだまだこのあたりのことが上手く言葉に出来ていない
だからなんとかして言葉にしていきたいと考えている
だけどそれは俺一人では到底不可能だろうと思っていて
いろんな人達の声や言葉と共にゆっくり進むより他無いと思う

だから、新しい場所を作るのと並走して
その場所も作ろうと思う

『音ひと料理・みみくちはな』というタイトルが浮かんだ
おそらく、小さなZINEになるだろうと思う

俺たちは、俺たち自身のメディアを、既に手にしている
だから、ゆっくりでも、進んでいけば良いのだ

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Jun 16, 2012

屈さない

愚かな判断で愚かな再稼働を決めた
その愚かさに対し
一万人以上の人間の怒りが
直接、官邸を囲いこんだ

一部左派系を除く主要報道機関は
この動きを一切報じなかった

愚かさに駆動された禍々しい原子炉が
見窄らしく細々と再稼働を始める

勘違いしてはいけない
再稼働は「負け」ではない

一度、全ての原発が止まったのだ
四十年以上、そんなことは一度も起こっていなかったのだ

これからだ
どんだけ時間がかかろうとも、これからだ

バンクーバーのパンクシーンを追ったドキュメンタリーが
この秋に日本でも公開される
そのタイトルである力強い言葉を引用したい

"Bloodied but unbowed"

「打ちのめされても屈することは無い」

忘れてもらっちゃこまるが俺はパンクだ
なめんじゃねえよ糞野郎ども

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Jun 06, 2012

大飯

メルケルの発言を引用するまでもなく
この世に原発の責任をとれる者など誰もいない
腹掻っ捌いて半減期が加速するならともかく
死んで詫びようが何しようが責任など取れるわけがない

再稼働なんか反対に決まってんだろ
アホか、ふざけんな
ほんまにアホか、ふざけんな

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May 06, 2012

コンフュージョン、フューチャー、こどもたち

国内のすべての原発が止まった
この日を、ずっと待っていた

俺がこの世に生まれてきてからずっと
この国で原発が止まっていたことは無かった
そのことがずっと不安だったはずなのに
少年を過ぎて青年期のいずれかの時期に
何処かに不安を置き去りにして
忘れたふりをして
愚鈍な大人になり

2011年3月11日
現実が愚鈍を打ち砕いた

ところで
カルロス・ゴーンが如何に優秀な経営者であろうとも
原発と日本経済に関する彼のサジェスチョンは間違っている
どう数字を並べて論理を尽くそうが、間違っている

混沌から未来を創出するひとたち
つまり、こどもたちをまったく信用せず
こどもたちにツケを残すことで「生き残ろう」とする
その根っこのアイデアが間違っている

こどもたちはおまえらに育てられはしない
こどもたちは端的に生きるだろう
大人は嘘を生きないことでのみ
いや、せめて嘘を自覚して認めることでのみ
混沌から「その先」を生きるこどもたちに向けて
何かを語りかけることが出来る

薄焼き卵を錦糸に切り
茗荷を刻み
茹鶏を切りそろえ
トマトを切り
パクチーを刻み

茹で上がった中華麺を水でしめながら
そんなことを考えていた

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Feb 15, 2012

鮪とメロトロン/同調圧力

鮪の赤身をよく食べている
安いし、少し手を加えれば全然飽きが来ない

相方がおでんを炊いてくれていたので
何か一緒に摘めるものをと思い、やはり安かった鮪を買った

ささっと角切りにして小鉢で軽く醤油と和えてから
山芋を擦りおろし、葱を小口切りにする
韓国のりしかなかったから、今回海苔は無し
山芋をかけて、葱を乗せ、小鉢の縁に山葵をあしらう

上品に食べるもんじゃないから
グリグリ全体をかき混ぜて食べる
後から醤油をかけるんじゃなくて
鮪をヅケにしておく方が美味しいと思う
おでんにこいつだからね、日本酒でしょうよ、当然

ねっとりとした旨みが口に広がった瞬間
何故か"Starless & Bible Black"のイントロが頭の中に流れた
鮪の味とメロトロンの調べ
なんでやねん……


               *


「この日一日を静かに過ごして犠牲者を想って欲しい」という願いと
「せめてその日はデモなんかするな」という「欲望」は
論理的因果関係を持たない
自己愛のみがその二つを繋ぎ、事勿れ主義を都合よく隠蔽する

傲慢な同調圧力を生み出す歪んだ自己愛、それは
原子力発電に関わる様々なフェーズにおいて膿のように溜った
利権構造と搾取抑圧から目を逸らし
さらにそれを覆い隠す手助けをしてきたものと、同根だ

「英霊を祀ることは戦争の賛美ではない」というのと
五十歩百歩変わらぬような都合のいい理屈だよ、そんなの

人の間にあって生きる以上、誰も軋轢から逃れられはしない
逃げ口実を、口当たりの良い「美しさ」でコートして
己一人、自己満足に至りたいのならそうしていればいい
だけど、そこにフィクショナルな「良識人」を重ねて
己の逃げ腰を担保する為の同調圧力を産み出そうとするな
逃げないことを選んだ人たちの足を引っ張るな

この大馬鹿野郎どもめ
反吐が出る

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Jan 02, 2012

その先が常にあったこと、その先が常にあること

仕事納めも仕事始めもなく
淡々と仕事をこなしている

年が明けてから
通勤の最中、Robert Wyattの"Free Will and Testament"が
頻繁に頭の中に流れている
とても寂しいメロディーで
相対主義と懐疑と諦念の果てを歌った曲

歌詞はこんな感じ(たぶん)


               *

Given free will but within certain limitations,
I cannot will myself to limitless mutations,
I cannot know what I would be if I were not me,
I can only guess me.

So when I say that I know me, how can I know that?
What kind of spider understands arachnophobia?
I have my senses and my sense of having senses.
Do I guide them? Or they me?

The weight of dust exceeds the weight of settled objects.
What can it mean, such gravity without a centre?
Is there freedom to un-be?
Is there freedom from will-to-be?

Sheer momentum makes us act this way or that way.
We just invent or just assume a motivation.
I would disperse, be disconnected. Is this possible?
What are soldiers without a foe?

Be in the air, but not be air, be in the no air.
Be on the loose, neither compacted nor suspended.
Neither born nor left to die.

Had I been free, I could have chosen not to be me.
Demented forces push me madly round a treadmill.
Demented forces push me madly round a treadmill.
Let me off please, I am so tired.
Let me off please, I am so very tired.

備わった自由意志、ただし範囲は限定
意のままに変幻自在ってのは無し
自分でなければ誰だった、なんてこと分かりようもない
ただぼんやり、俺ってこんなのかなって、思うぐらいで

だから自分のことは知ってるなんて口にしても、どうやってそれが分かる?
どんな種類の蜘蛛なら蜘蛛恐怖症を理解するの?
自分には感覚があって、感覚があるっていう感覚もある
感覚を掌ってる? それとも俺が掌られてる?

舞う埃の重量が地面にへばりついたモノを上回っている
どういう意味になるんだろう、こんな風に中心を持たない重力は?
ソンザイ―シナイ自由なんてあるの?
ソンザイ―シヨウトスル自由なんてあるの?

勢いに押されてアレやったりコレやったり
でっちあげたり、やる気のあるフリしてるだけ
散り散りに消えてしまうつもり、切り離されてさ 出来るかな?
敵のいない戦士なんて意味あるの?

あてどなく、でも空になく、空気もなくて
放し飼いで、つめつめでもなくだらりともせず
生まれもせず 見捨てられもせず

自由があれば この俺になんかならない選択が出来たのにね
惚けた力が、狂ったように俺を踏み車へと押し戻す
呆けた力が、俺を終わりの無い徒労へ押し返す
降りさせてくれよ ひどく疲れた
降りさせてくれよ ことごとく疲れ果てたんだ


               *


ほんの数年前
俺はこのまま、これそのものだった
もうこの先などは無いと思っていた

そしてそれは思い上がりだった
気がつけばいつもその先、その向こうにいる
今はこの歌を別の光の下で聴くことができる

終わりようのない3.11からも
気がつけば常にその先があったし
その先は「わたしたち」の意志と共に常にある
たとえ危うくとも

降りなくていいし
無理に祝うこともない
ただ漕げば良い

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Dec 02, 2011

送金してきました!

11月28日の月曜日
先日の「お惣菜ナイト」の粗利を送金してきました

皆様本当にどうもありがとうございました!!!

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Nov 24, 2011

お惣菜ナイト、無事終了致しました

直前にあたふたバタバタしたものの
なんとかかんとか準備も間に合い、無事本番を迎えました

相方がパパっと作ってくれたお品書きを貼りつけて
オッサンが行く飲み屋の雰囲気を再現

・ 冬瓜と親子煮(手羽元と煮抜き)
・ ポテトサラダ
・ 鰯のコンフィ
・ 茹で鶏(プッコッチュの辛味噌)
・ さつまいもと林檎の蜂蜜煮
・ 火鉢で作った焼き芋
・ シウマイ
・ 羊肉と豆と万願寺の贋アラビア風煮込み
・ 鮪と葱のクミン風味
・ ワカモレ&トルティージャ・チップス
・ パプリカとキノコのマリネ
・ 丹波の黒豆とひよこ豆とキドニービーンズのサラダ
・ カリカリあげとオニオンスライス
・ 揚げ南瓜のビネガー風味
・ 舞鶴産スルメイカの一夜干し
・ ピクルスの盛り合わせ

以上の16品を準備してスタート

うわ!
なんやこの異様な忙しさは!

嗚呼、ターコ君(Bar Hawkwindマスター)が皿洗いマシーンに
嗚呼、またルビー(看板犬)が蹴られてる
嗚呼、シウマイ蒸すのが間に合わない
嗚呼、すんません南瓜まだ揚げてないんです

エトセトラエトセトラ……

というわけで全くシャッターを押すこともなく
怒涛のように時間が過ぎていき
大人四十名以上、子供十数名にご来場いただくことが出来ました

一々お名前を列挙することは出来ませんが
来ていただいた皆様、本当にどうもありがとうございました

最終的な収益として「25.600円」をカンパすることができます
(今度の平日休みに振込に行ってまいります)

片付け終えて深夜に帰宅し
相方と二人で「楽しかったねー」と笑っておりました

本当に本当にありがとうございました
体はヘロヘロですが、滅茶苦茶楽しかったです


               *


翌日はゆっくり眠って
持ち帰った残り物をパンにのせてブランチ

しみじみ美味しいご飯でした

楽しいお祭が終わってしまいました
これがたぶん、今の自分(そして家族)に出来ること、です

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