Jun 19, 2013

ヤクレマキタの一族

 私どもの一族が目だし帽を使うようになったのはごく最近のことです。そうですね、半世紀ほど前でしょうか。それまでは通気性と伸縮性を兼ね備えた繊維素材がございませんでしたからね。

 ええ、ご指摘の通り一種の仮装ですよ。特殊部隊を想起させるアイテムでございましょう。昼日中の街中に私どもが現れても、大方の人たちは「なにか特別な任務を担っているのだ」と理解してくれます。便利な記号ですよ。同じ目出し帽で、例えばスーツのようなフォーマルな身なりだったり、あるいはスタジアムジャンパーのようなカジュアルなものだったりすれば、ハリウッド製の娯楽記号を刷り込まれた人たちは「銀行強盗」や「犯罪者」を想起します。しかし私どものように、機動性のある都市迷彩服に銃火器を装備して、複数名が訓練された機敏な動きを展開した場合、刷り込みをされた人たちは「特殊部隊に違いない」という判断をいたします。同時に、背後に権力や為政者を想像するでしょう。私どもには大変都合がいいのですよ。
 
 近年になって分かったことなんですが、私どもには解剖学的な特徴がございます。みな等しく松果体に嚢胞があるのです。MRIで撮影すればすぐに分かるのですが、大きさ数ミリ程の水が入った袋です。そうですね、松果体嚢胞自体は特に珍しいものではございません。しかし成員の100%にそれがあるというのは、統計学的に見るまでもなく特異な現象でございましょう。一族とはいっても、私どもに血の繋がりはございませんし、遺伝的な因果関係とは別の要因があるのでしょう。何かの理由があってのことなんでしょうが、実のところあまり興味を持っておりません。形態や構造を還元的に「意味」へ持ち込もうとするような思考を、私どもは厳しく戒めておりますから。

 そうです、私どもには血の繋がりがありません。左上腕の内側に浮き出たレビモザルの印だけが一族の証です。レビモザルは、人間の歴史に一度も記述されなかった集団が用いていた印です。彼らは、文明や文化とは常に別の場所におりました。野蛮とも洗練とも縁遠い、小さな小さな社会集団だったのです。

 なんですか? ははあ、なるほど。そういった文化人類学の業績に関しては、私も多少は存じ上げております。しかし、人間社会の特殊例と彼らの社会を比較することは不可能です。「それ」をあなた方の社会を分析するスケールで解読し、記述することは出来ないんですよ。なぜなら、彼ら――つまり、あなたがたの言語において私どもの「祖先」にあたる者たち――は、世界と言語に関して、あなた方とは完全に逆の認識を持っておりましたし、その認識を基盤に集団のディシプリンを形成していたからなんです。裏返らない限りは決して彼らの痕跡は見えません。しかし今こうやってお話している「あなたがたの言語」の構造上、そういった裏返りは不可能なんですよ。残念なことですが。

 そうそう、血縁の話でした。少し話がずれてしまいましたね。血縁関係にない一族の由来に関してこれからご説明差し上げましょう。ただし、正しくご理解いただくためには、多少迂遠になりますが、まずはドボスキンという人物のお話から始めなければなりません。そうです、ヤクレマキタにレビモザルの印をもたらした最初の人物が彼女なのです。

 ドボスキンというのは彼女の固有名ではありません。ヤクレマキタには固有名がないのです。ドボスキンというのはドボスカヤたちが使い始めた仮称に過ぎません。ドボスカヤは「判定の姉」と言う意味です。ドボスカヤたちが担っていた役割は、成人を迎える成員が正しく「ドボシキ(反転)」できていたかどうかを判定することでした。ドボシキできていなければヤクレマキタの一族として認められません。ですからその場合には「ドボシケレノミヤ(再反転)」の儀を通過させることで、ドボシキへと導きます。このドボシケレノミヤの儀を体系化することで、複雑な知識体系を体得しなければならないドボスカヤたちの役割を簡素化したのがドボスキンなのです。ドボスキン以降、ドボスカヤたちの役割は、レビモザルの真偽を判定することのみになりました。

 後にドボスキンと呼ばれることになる女性は、あなたがたの暦でいえば西暦紀元前2000年頃、中央バルカン山脈の比較的アジア寄りの地域に生まれました。私共はそこを「デデモレンメ」と呼んでおります。ヤクレマキタの地理的な起源がその辺りだったのではないかと言われております。彼女がデデモレンメに生まれたのは、地理的な必然があります。そのことを正しく理解するためには、ヨーロッパアルプスを含む山脈形成の歴史を紐解くことから始めなければなりません。

 なんですか?血縁の無い一族の話はどうなっていると?ですから、それを理解するためには、デデモレンメの地理形成の歴史から始めるのが一番の近道なのですよ。そこの理解さえ出来れば、太陽系生成の歴史にまで容易に遡れます。そうです。天地開闢の始めまで遡らない限り、ヤクレマキタを理解することはできません。それは、裏返りのないあなた方の言語の構造的必然だと言わざるを得ません。

 もう結構だと仰るのですか?あなた方はみな我慢が足りませんね。我慢もないくせにヤクレマキタを知りたいと仰る。よろしいでしょう、貴方に近道をご用意いたしましょう。手足に穴が開いて身体が内側から裏返るのは多少痛いですが、大したことではありません。運が良ければ、貴方の腕にもレビモザルが浮かび上がるでしょう。

 さあ、始めましょうか。
 

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Mar 01, 2013

文節のロードキル

 述語を待ち焦がれながら長大に引き伸ばされていった連文節が、そのまま枯れて萎れた。そのことが、今回の件の大前提になっている。

 乳白色の洗面器の中に握りこぶし大のロードキルがある。僕が吐いた。血の滲んだ茶色い毛皮と肉片の塊で、動物の原型を留めていない。しかし生きているようだ。微かに動いている。

 何かが奥歯に挟まっている。ロードキルの毛らしい。指を入れて掻き出そうとした途端に嘔吐く。胃から食道へと熱い塊が込みあげ、洗面器の中へ吐き出してしまった。やはりこぶし大のロードキルで、並んで2つ、もぞもぞ動いている。

 事故は消化器系内部の幹線道路で起こったようだ。濃霧で視界が悪く、付近でオートジャイロの墜落事故が起こっていたことは、直前に傍受した警察無線の内容で知っていた。

 洗面器のロードキルが一つにまとまり始めた。直感的に「阻止しなければならない」と思い、バスルームから強酸性の洗剤を持ってきて流しかける。しかし既に手遅れだった。融合したロードキルはピッツァ生地のように薄く丸く広がり、幾度か波打ったかと思うと、跳躍して僕の顔を覆い、隙間なく皮膚に張り付いた。肌触りから、引き剥がそうとしても無駄だと分かる。「烙印のようなものだ」という直感が思考にインポーズされた。一連の流れは、雷光に対する雷鳴のディレイに似ている。

 目を開けると、非常に薄く伸びたロードキルの皮を通して外界を確認することが出来た。血の色で視界全体が染められている。保存状態の悪いスーパー8フィルムのようだ。カウント・ファイヴで目を開け、目を閉じる動作を繰り返す。古来より我が一族に伝わる対処方法だ。次第に視界がクリアーになってくる。それに従い、外界という概念が溶けだす。「だから阻止せねばならなかったのに」と思うものの、ここまで来たらもう引き返せない。内側と外側が裏返るのを静かに待つより他無い。

 口の部分だけ、ロードキルの膜が開く。黒い目だし帽を被ったヤクレマキタが外科手術用の鉗子と工具箱を持って現れた。ヤクレマキタは手慣れた様子で僕の手のひらに釘を貫通させる。次に交差させた足首を同じように大きな釘で穿ち、十字架に磔する。ヤクレマキタが僕の口を鉗子でこじ開けて固定する。16進法の呪文が囁かれると、ロードキルは再び口の中に入り込んで極薄の膜に変形し、消化器系から肛門に至るまでの内側をぴっちりと覆い尽くした。視界の全てが燃え上がる。ロードキルが僕の内側に張り付いたまま、再び外へ向かって動き出す。僕は裏返る。

 世界は連文節の連続体だ。述語はやってこない。

 僕の視座は中空に固定されている。物理的実体としての目は無い(それは外側となった内側のさらに外側に位置しているはずだ)。連文節が旋回している。ゆりかもめの群れのように見える。全ては言葉に還って連なり、揺れ、舞っている。言葉たちは煌々と燃えている。煌々と燃えるのが言葉たちだ。やがて僕の視座は遍在へと移行し、その刹那に焼き切れるだろう。

 述語は最期までやってこない。

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Sep 29, 2012

この町のおわり

 シュヌヴィエ氏を半ば強引に財団の会合へ招いたのは、O太君のお父さんだった。氏とは犬猿の仲だったシュルツェ氏を招待しなかったのは、O太君のお父さんもシュルツェ氏に含むところがあったからだ。シュヌヴィエ氏は、今後の財団運営の資金面における鍵を握っていたので、理事たちはO太君のお父さんの強引さに辟易していたものの、強く出ることができなかった。

 会合に招かれた者の役割は二つ。理事たちの前で鰐踊りをすることと、事前に済ませておいた六角詣の詳細を報告すること。

 鰐踊りは1920年代の後半、ゲオルク・クベンツァーの発案によって始められた。鰐心の獲得と鰐技の研鑽を基礎として、鰐平和を目指す踊り以前の踊りだ。緊張と緩和から緩和を抜き取った緊張の純粋持続が求められる点で、梵百の伝統芸能スピンオフとは一線を画している。

 六角詣は、メジャー級の行楽としてこの地で親しまれている。没後数百年を経た吉澤正宗の遺骸を覆う「六角棺」を中心に、放射状に形成された超伝導回廊を、順に経巡り練り歩く行事だ。時折現れる出店でりんご飴やカルメラを買い食いするのも楽しい。基本的に中心へはたどり着けないのだけれど、よほど酩酊しない限り、キメラ化した正宗の怨霊と相見えることができる。怨霊は冬眠中のヤマネにそっくりな姿をしており、ここに人気の秘密を垣間見ることができる。

 会合の半年前から修練を重ねてきたシュルツェ氏なら、それなりの形になった鰐踊りを披露できたはずだ。オカルト史や新興宗教に詳しい上に、批判的な知性の持ち主でもあるから、六角詣に関しても興味深いレポートをしてくれたに違いない。

 ところでシュヌヴィエ氏の鰐踊りは無様の極みだった。一々の所作をぎこちなく繋ぐ度、苦笑いを浮かべてこちらを伺う姿は、鰐を奉ずる部族への侮辱と解釈されても仕方ないだろう。六角詣を纏めたパワーポイントは、散漫な個人的印象の羅列。参照画像がズレていることも多く、付け焼刃であることは一目瞭然だった。鰐踊りもレポートも、立ち上がって拍手をしていたのはO太君のお父さんただ一人だけで、理事たちは皆、怒りを噛み殺しながら沈黙していた。

 会合が行われていたRoom429の中央付近に、シュルツェ氏のホログラムが浮かび上がった瞬間、シュヌヴィエ氏は4倍ほどの長さに伸び、高速で回転しながら上昇し、天井に穴を開け、しばらくホバリングしてから一気に成層圏まで打ち上がった。いわゆる「ロケット冒涜」を演じた形だが、O太くんのお父さん以外、誰一人動揺している様子は無かった。

 「鰐を踊ってみせましょう」

 ホログラムのシュルツェ氏が美しく舞う。極度の緊張から極度の緊張へ、まるで怒張した陰茎のように震えながら、舞う。

 「鎮魂と防災上の必要性から、吉澤政宗の骸はまずプラスティネーション技術で処理され、液化窒素の充填された地下タンクに併設された石棺に収められました。初期の設計段階では机上の空論であった超電導回廊ですが、その後の高温超伝導体の発見によって実現に至りました……」

 非の打ち所のない六角理解を基に、シュルツェ氏は見事なレポートを報じた。特に、遺骸の安置された「ゾーン」と呼ばれる回廊中心部への到達不可能性に関しては、かつてストルガツキーが「肉挽きトンネル」という形で提示した隠喩を援用しつつ、シャープで説得力のある推論を提出した。それは、正宗の怨霊が物理的質量を反転させるメカニズムの解明にも繋がるものだった。心を揺さぶるルポは後に伝説と化し、役員の一人は「涙を禁じ得なかった」とまで語っていた。

 シュルツェ氏のホログラムが消えた瞬間、超電導回廊が直下数メートル分の土砂とともに中空へと持ち上がった。成層圏から急角度で再突入したシュヌヴィエ氏が、紅蓮の龍と化しながらゾーンに突き刺さった。閃光が天を焼き、大地は裂け、大波が全てを浚った。

 僕がO太君から聞いた話は以上だ。そしてそれが、この町の最後だった。O太君のお父さんは安い新興宗教にかぶれて何もかも失った。ゾーンは今も約100フィート上空に留まり、低速で回転し続けている。シュルツェ氏は今でも、鰐踊りを修練しているという。

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Jun 23, 2012

審判

相乗効果として見込まれるのは、暴動の鎮圧です。

-どういうことかね?

暴動の鎮圧に繋がるわけです。

-そこに至る過程を詳しく説明して欲しいんだよ。

無理ですね。

-何故?

これはロジカルな問題ではないからですよ。

-よくわからないな。ロジックでないなら何だね?

愛です。

-愛?愛が暴動を鎮圧すると?

愛は暴動を鎮圧しません。相乗効果として暴動の鎮圧が見込まれる、そのメカニズムの根幹に愛があるのです。

-わからない。そもそも何の相乗効果の話なんだね?

大衆迎合的な政治運動です。

-ポピュリズムのことか?

なんとでもお好きなようにお呼び下さい。そもそも実態はありませんし、命名や定義付けは大きな意味を持ちません。

-愛によって駆動される、実態のない大衆迎合的な運動が、その相乗効果として暴動の鎮圧へと繋がると、そういうことかね。

概ねそのような流れでよろしいかと。

-そしてそれが終始ロジカルではないと言いたいわけだね。

仰るとおりです。

-死刑。

はい?

-判決は死刑。

意味が分かりかねますが。

-結審済みということ、お前死刑。

不当な判決です。承服しかねます。

-知らねえよバカ。お前死刑なんだって。

再審を求めます。

-できねえよカス。死刑。

(舞台両端より、迷彩服に目出し帽の一団登場。フルオートの掃射で判事と被告を蜂の巣にする)

-------- 暗転 -------

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Feb 09, 2012

へそを曲げる

 へそのような場所には必ず、減らず口をたたく粗暴な男がいる。減らず口の「へ」、粗暴の「そ」、だからへそ。へそのような場所と言うよりは、元来がへそと言った方が正しいのかもしれないけれど、往々にしてそこはへそのような場所と呼ばれる。

 減らず口をたたく粗暴な男はクリーム色のビニール製ジャンパーを羽織っているのが常で、タックの沢山入ったチェック柄のスラックスを何本か色違えで揃えている。粗暴なので靴下を嫌い、寂れた旅館にあるような便所下駄を裸足につっかけている。

 減らず口をたたく粗暴な男はいつもお気に入りのパイプ椅子に座っていて、堅い下駄で地面をガリガリガリガリやっていた。パイプ椅子ごと少しずつ回転していたから、へそのような場所は文字通りへそのように円を描いて凹んでいる。ただし中央に限って言えば周辺地域と海抜を同じくしている。

 へそのような場所はかつて皇族の祭祀に使われていた土地なのだけれど、減らず口をたたく粗暴な男と皇族の間にはなんら接点はない。へそがへその形をしっかりと保ち始めてから、その地の由来を説明する宮内庁の立て看板は撤去された。山岡さんの話によれば、撤去に立ち会った宮内庁の職員は、全員喪章をつけていたそうだ。

 山岡さんはへその男ウォッチャーとして名を馳せている。男が粗暴さを発揮できない距離に監視塔を建て、望遠レンズで男を撮影し、毎日細かなレポートをブログにアップしてきた。しかし最近の山岡さんはtwitterでの情報発信がメインとなり、内容量に乏しく短い報告が多くなった。投稿される画像の量も段々と減り、ブログの更新頻度は極端に落ちている。山岡さんウォッチャーとして有名な佐久間さんによれば、この数ヶ月山岡さんは一度も監視塔に現れていない。にも関わらず、あたかも男を監視しているかのようなtweetを続けているそうだ。

 佐久間さんが山岡さんを監視し始めたきっかけは「あったようで微妙に無い」という。これは佐久間さんとは長いようで短い付き合いの大沼さんから聞いた話である。監視塔の機材に使う接点復活剤の貸し借りがきっかけだったらしいが、そもそも大沼さんの話はとうてい信用できるようなものではない。

 大沼さんは六ケ所村の出だというが、何時も持ち歩いている出生証明には殆ど全てモザイクがかかっている。喫煙歴は無いと言うが、吐く息は何時でもヤニ臭い。12弦ギターが得意だと吹聴しているのに、ギターを手渡されても絶対に弾かない。「河童と呼ばれた」とふれまわるのに水に近づかない。宅建を持っているはずなのに㎡と坪の関係も理解していない。淡水にしかいないはずの魚を海で釣ったと自慢する。隣町のスナックで配っていた名刺には「笹野和也」と書かれていた。自称絶倫だがインポテンツだ。羽があるというが生えていない。あげく「俺は本当は飛べる」などと言う始末だ。信用できる要素は一つもないくせに、妙に澄み切った目をしているので、ついついみんな大沼さんに親切にしてしまう。

 そんなある日、M7クラスの直下型地震が、へその真下にある活断層を大きく動かした。佐久間さんと山岡さんは倒壊した建物に押しつぶされて死んだ。大沼さんは二倍強の大きさになり、産卵のため川を遡上した。減らず口をたたく粗暴な男はジャンパーの色をオレンジに変えた他、目立って変化はない。ラフな格好でやって来た宮内庁職員は、ヘブライ語で書かれた立て看板を再設置し。奇跡的に残った監視塔の望遠カメラから40秒ごとに更新される画像は、今も自動的にネットワークへと送り続けられている。ともあれ、私の生活や健康状態には即座に影響が無いので、むやみに心配しないでほしい。

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Jan 14, 2012

ジョン・ホームズと鯨

 何度も何度も失敗した。他でもない、コロッケそばの話だ。どうやってもあのコロッケそばに辿りつけないのだ。何時、何処で、誰と、どうやって食べたのかまったく思い出せない。だけど味はちゃんと覚えている。まず最初に冷えたコロッケを口に含んだ瞬間の落胆があり、徐々に溶け出した衣とジャガイモが温かい出汁に馴染んでからのスペクタクルを経て、醤油辛い出汁を飲みきってしまうまでの加速感に至るまで、その全てを克明に覚えているのだ。食べた場所が思い出せない以上、自分でその味を再現するより他ない。コロッケも蕎麦も出汁も、ありとあらゆる組み合わせを試した。しかしどうしても辿り着けない。決定的な何かが不足しているのだ。

 「模造記憶だよ」
 「え?」
 「君に埋め込まれているニセの記憶さ」
 「ニセ……」
 「そう、非実在コロッケそばに関する膨大なデータが、まずは1986年4月26日にロシアから流出した。データはコピーと圧縮を繰り返しながら、20年以上を経て膨大な数のミラーサイトへと拡散された」
 「分からないな。どうしてそんなデータが僕の記憶に刷り込まれてるんだ」
 「思い出してご覧。ジョン・ホームズの巨大なペニスと鯨の件さ」
 
 ジョン・ホームズに会ったのは1981年の5月。ワンダーランド殺人事件が起こる直前だった。僕は東側諜報機関からの依頼を受け、彼の陰茎の正確な大きさ(正常時、勃起時の直径及び全長)を計測するという、非常に危険で困難な任務に付いていた。ロスのアンダーグラウンドに潜入し、代理人、代理人の代理人、その代理人といった具合に、延々と続く代理人面会を粘り強く数週間続けた後、やっとのことで、面会の約束を取り付けることが出来た。

 「あの時の連中なんだよ」
 「東側のメンバーのことか」
 「そうさ、やつらが流出させたんだ」

 コロラドから数名が現地入りするという話だけを聞かされていたのだが、実際に顔を合わせたのは一人だけだった。ナチョスの屋台で声をかけてきたのは体臭のきついヒスパニック系の女で、①作戦には閃光弾が使われること、②振動式のレシーバーで合図を確認し、素早く防護具を装着すること、という説明を受けた。その十数分後、ホームズの代理人と落ちあい、ダウンタウンのスタンドバーに案内されたのだが、ドアを開けて本人の顔を確認した数秒後にはレシーバーが振動していた。防護具を外して目を開けたときには、目出し帽で顔も分からない黒ずくめの男たちが、既に意識を失ったホームズを確保し、巨大な陰茎を露出させているところだった。

 「覚えているかい」
 「何を」
 「ジョンのコックの長さと直径を」
 「ああ、ちゃんと覚えている」
 「俺だって知ってるよ」
 「そんなはずはない」

 電子ノギスと金属製の定規を使い、慎重を期して正確に測定したあの値を知っているのは、ごく一部の東側諜報員だけのはずだ。

 「それもニセの記憶さ」
 「そんなはずは……ない」
 「だったら教えてやるよ」

 自分一人しか知らぬ筈だった主観的な記憶。その詳細が他者の口から克明に語られるのを聞くのは、不思議と心地良かった。薬剤の静脈注射で怒張した陰茎。陰嚢と肛門の間に小さく彫られた鯨のタットゥー(ホームズは鯨の保護に熱心だった)。頭部に電極をあてて短期記憶を消す処理。裏口から煙のように消えていった工作員達。

 「東側の連中が欲しがっていたのは君の海馬だ」

 ようやく思い出した。それで何もかも納得が行く。そう、僕は。

 「ホームズのダブル、おめでとう」

 熱く硬く疼き始めた股間に手をやると、ザトウクジラが生まれいづるところだった。目の前には大西洋の白波。我は父にして母。世の終わりまで射精し、受精し続けることだろう。

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Oct 05, 2011

天竺と手鉤

 東山二条から南東方向に、道とは別の道があることを知る人は少ない。わたしとわたしの妻、それに泰子の三人だけだ。私たちはかつてそこから天竺を目指し、泰子だけがそこに辿り着いた。わたしと妻が志半ばで道とは別の道を引き返し、住み慣れた街へと帰ってきた時、道とは別の道は閉じてしまった。道とは別の道によって割れていた景色が肛門括約筋の収縮のように動き、文字通りそれは閉じてしまったのだ。以来泰子とは会っていない。

 天竺行きを言い始めたのは妻だった。わたしには妻の望みこそが全てだった。泰子が何を考えていたのかは分からない。

 景色が閉じて道とは別の道が閉ざされて以来、妻は次第に鬱ぎがちとなり、数日に一言返事をするかしないかという状態になった。笑おうとして失敗したまま凍りついた顔で、それでもわたしの問いかけに小さく頷いたり首を左右に振ったりしていたのだけれど、やがて妻は猪口に化身して人を辞めた。

 以来、わたしは妻が化身した猪口で毎日晩酌を続けている。なるべく規則正しく、同じ時間に同じピッチで同じ量の純米酒を呑む。それから酔いが回る前に猪口を洗い、乾いた布巾で丁寧に拭いてから、枕元にあつらえた妻のための小さな寝床に置き、夏ならばガーゼを、冬ならばフリースの小さな布団をかける。

 道とは別の道が閉じ、妻が化身してから二十四年が経ったある夜、泰子に対する憎しみがふつふつと沸き上がってきた。そもそも何故彼女だけが天竺に辿り着き、わたしたちは帰ることになったのか。曖昧な記憶をたどる内に怒りで目の前が真っ白になった。晩酌も忘れ、泰子が天竺から寄越した封書と写真を探し、納戸の中を狂ったように掻き回した。

 ようやく見つけた封書を開け、泰子が写っている筈の写真を見た瞬間、虚脱したわたしの薬指が茶色く酸化し始めた(私の手指は若い時分に鉄製の物へすげ替えてある)。

 天竺に辿り着いていたのは妻だった。つまり欝いで猪口に化身したのは泰子だったのだ。

 わたしはカラカラに乾いた口に猪口を運び、バリバリと噛み砕いた。それから西へ向かって三度礼拝し、手鉤で自らの頸動脈を掻き切った。血の色の向こうには、笑顔の妻が見えた。許されるものならまた会いたいが、そうはいかないだろう。

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Jul 28, 2011

失敗した物語

この二ヶ月ほど、思い出してはぽろぽろ書いていた話があったのだけれど
ノルウェーにおけるテロの報を前に、書き継ぐのが嫌になった
中途で途切れていますが、以下にその書き出しを


               *


北枕半左はめざしを二口で喰らい、丼茶碗から冷えた麦飯をかっ込んだ。

「耄碌してやがらっ。あんの野郎、てっぺんに味噌がねえんだ」

北枕の紋が入った藍色の半被をバッと開いて、晒の上から腹を掻く。

「駄目だよそんなに掻いちゃ。また抗生物質飲むハメんなんだから」

みもざは前年秋時分の出来事を言っている。

「るせえよ婆ぁ。んな柔じゃねえってんだよ」
「去年腹掻き毟って転がりまわってたのは何処の何奴だい」
「へっ。おおかたアルトーの旦那と見間違えたんだろ。てめえも耄碌かよ」
「人の耄碌四の五の言う前に、あんたのてっぺんの味噌心配しなっ」
「るせえ婆ぁ」

壁蝨に食われた痕を触りすぎた為、半左の腹は大半蚯蚓腫れになり、酷く膿んだ。それと丁度同じ頃、辺り一帯の大地主であるブノア・アルトーが、お屋敷の庭で恒例の梨狩り大会を開催した。アルトーは好物の蕎麦掻に仕込まれた炭疽菌によって腸炭疽症を発症し、生死の境を彷徨った。それは積年の恨みを抱えた小作人によるバイオテロであった。後、町奉行に挙げられた下手人グループに恩赦を与えるよう働きかけたことで、アルトーは株を上げたのだが、数十年続いた梨狩りは今後一切行われないという。

「半左、あんた昨日のことも思い出せないんじゃないのかい」
「馬鹿言うな婆ぁ。俺ぁその《きんのう》のことであんの野郎にむかっ腹立ててんだよ」
「あんの野郎って、誰のこと言ってんだかさっぱりわかんないわよ……」

前夜、半左はルペンの生霊と邂逅した。実際のところはハイダーの降霊に挑んだのだが、どこかで手順を間違えたらしい。囲炉裏の鉄瓶の上に現れたのはルペンだった。

「ハイダーってのはこんなによく肥えてやがったのか」
「何ぬかしてやがんだてめえ、こちとらルペンでえ」
「てめえまだ生きてやがんだろうが。何のこのこ出てきてんだよ」
「呼び出したのはテメエだろうがこのタコ。ざけんじゃねえよ」
「ざけんなはこっちの台詞だ。右巻き野郎だからって意気がんじゃねえっ」
「右巻きたあ言ってくれるじゃねえか。だいたいハイダーみてえなホモ野郎と俺を間違えるだなんてなぁ……」
「こらトンチキぬかしてんじゃねえぞデブ。ホモフォビアたぁ笑わせんじゃねえか」
「気色悪いんだよ、テメエもそのクチかよ」
「その発想が超フォビってんだよ百貫デブ。お呼びじゃあねえよ消えちまえ」
「誰がこんな荒屋長居するかってんだ。へっ」


ぽんっと間抜けな音。白くてちゃちな煙が一筋。生霊ルペンは囲炉裏から消え去った。半左はもう飽き飽きした気分で、チョウセンアサガオの根煎じたり、白豹の牙黒焼きにしたりなんて、七面倒臭いことをやり直す気がてんで起こらない。

「婆ぁ、ハンアリにマッコルリ入れて持ってこい」
「忙しいんだよっ。んなことぐらい自分でやんなっ」

きつく言われると半左も殊勝なもんで、胡座を解いて立ち上がり、水屋から自分でハンアリを取り出して晩酌の準備を始めた。

「婆ぁ、こっちきて呑まねえか」
「忙しいって言ってんだろ。言いたいことあんなら話しなよ。聞いてやる」
「へっ、てめえにゃ敵わねえな……」

面倒臭がりの半左が、手間のかかる煎じ薬を幾つも用意してまでハイダーを呼びだそうとしたのは「あんちせみてぃずむ」の本質について一席ぶって欲しかったからだ。長屋一番の物知りである大外羅漢によれば、なんでも自分たちの貧乏の理由を追っかけて地の果てまで行ってから帰ってきた奴は、かならず何種類かの陰謀論を土産にしているという。土産を解いたやつは決まって「あのユダ公」なんてことを言い始めるそうなんだが、そういうのをざっとひっくるめて「あんちせみてぃずむ」と言うらしい。


               *


この後、シャーマンであるみもざの力を借り
デンデン太鼓を手に旅に出た半左は
最後に本居宣長と対決する、という構想だったのですが
まったくもって書き継ぐのが嫌になりました

選び得るはずもない「ある特定のことば」の中に生まれたこと
選び取るというよりはたまたま至りつく思想や信条
あるいは性的な指向性や、ジェンダーなど
特定の共通項によってまとめられる集団に対して
激しい憎悪を抱く人、人々は必ずいて
その憎悪の連鎖は、生半可なリベラリズムでは到底解体できない

その解体し得ない強固さは
俺が何度か書いている「わたしたち」の暗黒面だと思う

おそらく、その強固な暗黒は
この先も絶えることはないだろうと思う
そう思うからこそ、それに抗うための手綱が欲しいと思っている

今の俺は現実に完敗している
そのことが悔しかったから、物語を止め
あえてちゅうぶらりんのまま、ここに晒すことにした

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May 18, 2011

まだらくま再訪

 ジョルジュは二十四年ぶりに帰郷した。

 生を受けた斑隈の地で野山を駆け回り、斑隈の海で泳ぎと釣りを覚え、斑隈の学舎で反抗と憎しみに溺れ、斑隈の街で肉欲と愛の相克を知り、斑隈の外れで犯し、殺めた。それから十八で船に乗り込み、斑隈を去った。

 最初の10年、ジョルジュは洋上でギリシャ哲学を学びながら論理的思考を研鑽し、イブン・ルシュドの思索に触れて感銘を受け、言語と言語をつなぐ地図にない境界をなぞり、叡智と叡智をつなぐ歴史上の結節点を渡る術を覚え、そこから贖いの方法論を打ちたてようとした。次の10年間で過去の亡霊に破れ、魂のレイヤーに焼き付けた全てを壊した。あげく丁寧に酒に溺れ、何もかもを綺麗に洗い流した。陸に上がったときには、絞った形でカラカラに乾いた雑巾のような有様だった。それから4年を経て、ジョルジュは帰郷を思い立った。アントニオとラウラに会う為だ。

 もともと斑隈には蓬戸しかなかったが、今はその蓬戸さえない。一面に汚泥が乾いているだけだ。ジョルジュは高台から斑隈を見下ろし、溜息とも安堵の気息とも取れぬ掠れた声を漏らした。左肩の裂け目から大量の胞子が吐き出される。胞子は一瞬だけあたりを薄黄色に染め、風に舞い、散った。

 湾内の入江に立つと、入り組んだ湾口の山肌に水蒸気の烟るさまが見える。湿気、湿気、そして湿気。人々の慈愛の過剰が斑隈を覆う監視網となり、真綿で絞めるように若き日のジョルジュを苛んだ。あの人々は既にいない。だがしかし湿気は、未だ過剰なまま辺りを覆い尽くしている。足元に走り寄ってきた溝鼠が胞子を吸い、仰向けにひっくり返って痙攣する。瞬く間に体温を失っていく鼠から、無数の蚤と壁蝨が離脱し、跳ねた。頭上には烏が旋回している。

 かつては港湾労働者たちで賑わった露茎交差街のネオン跡を横目に見ながら、コンクリート製の鳥居をくぐり、境内へと続く割れた石段を登り始める。428段を登りつめると、磔にされたままカーボン処理されたアントニオとラウラの祠に辿り着く。苦悶と恐怖に歪められたそのままの顔で、ずっとこうやってここに祀られてきたのだ。

 ジョルジュと出会った当時、アントニオとラウラは結婚してまだ間もないカップルだった。どこの地方都市にも駐在しているような平凡なロスコ技師。毎日毎日土壌細菌を調べ、方解石のサンプルを取り、ルビジウム・ストロンチウム法で化石の放射年代測定を行う。平凡で単純なルーチンワークをこなしてはいても、退屈が日常を浸食するようなことはなかった。若く、あけすけに幸福な二人だった。

 採石場の外れにある小屋で寝泊まりしていたジョルジュは、金欲しさに二人を襲った。安全靴の蹴りがラウラを石女にし、アントニオを盲にした。あけすけな幸福が終わり、ジョルジュは街へ遁走した。

 無限退行型ロスコを継承発展させた理論で、妄想自重を飛躍的に軽微にすることが出来ると気付いた二人は、斑隈の地で啓蟄の儀を執り行なった。目的は呪殺。採石場の男を呪い、殺すことだけが二人を結びつける絆となっていた。しかし無限退行型ロスコの内側には論理的な破綻が存在していた。二人が発展させた理論の礎には重大な死角があったのだ。

 ジョルジュが洋上に消えてから4年後、啓蟄の儀が執り行なわれた。儀の半ば、海に面した東屋から南に向け数百メートルに渡る大地が裂け、地中からの崩壊光が成層圏を焦がした。空から、海から、地中から、真っ黒い意思を持った汚泥が斑隈を襲い、カーボン処理されたアントニオとラウラ以外、何もかもすべてが消えたのだった。全世界を震撼させたこのニュースは、洋上のジョルジュにも届いた。そこから贖いの方法論の模索が始まり、頓挫したのだ。

 「もう、これで始まりにしよう」

 祠の前に立ったジョルジュが、しわがれた声を漏らす。

 「何もかも一個だけ、過去へ残せば良い」

 右手を左肩の裂け目に差し入れ、力を込めて開くと、黄金色の胞子が勢い良く吹き出した。膝を折って地面に崩れ落ちたジョルジュが、熱収縮チューブのように縮んでいく。胞子は斑隈を覆い尽くし、汚泥は成層圏へと引き上げられていく。水平線の彼方には、アントニオとラウラの巨大な蜃気楼が現れ、ゆらゆらと揺れている。

 その何もかもすべてを、高度490kmにある軍事衛星が高解像度で記録していた。解析データから無限退行型ロスコの完全形態が出来上がるのは、それから48年後のこと。わたしたちの祖父の時代の話だ。

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Mar 26, 2011

ロブちゃんとキョウ

「ロック的なイディオムの中に回収出来ないって、それお前本気でほざいてるの?」

 鼻の穴から滝のように煙を吐き出すと、ロブちゃんは「はんっ」と威嚇するような声を出した。糊のきいた白いYシャツの胸は大きくはだけていて。薄い胸毛の上には細かな石の嵌めこまれたロザリオが光っている。
 ロブちゃんは上品なカーキ色のシングル・ソファに深く沈み込んで、両足を大きく開いているのだけれど、キョウはその真正面の床に正座させられている。磨きこまれたリノリウムの床を、ただうつむいて見つめながら。

「だから聞いてんだろ、答えろよ」

 キョウはリノリウムの継ぎ目に詰まった虫の死骸を凝視していた。とても小さな虫で、蟻地獄に似た形をしている。子供の頃に何度も潜り込んでは叱られた寺の床下で、乾いた細かな砂地をほじっては、蟻地獄を集め、小さな箱の中に入れて戦わせたものだ。でも今見ている虫は蟻地獄ではない。足の本数が違うし、尻の形もこんなバイセンキョみたいなはずがない。

「バイセンキョがロットリングだろ。それが決め手だってさっきから何度も言ってるじゃねえか」

 ドスのきいたバリトンが素敵なロブちゃんは、左手でロザリオを触り始めた。良くない兆しだが、キョウは相変わらず蟻地獄に似た虫の死骸を見つめるばかりで、この最悪の状況に気づいていない。

「音声的な問題なのか、補正案を廃案にするのか、どっちなんだよ。それさえ分かればお互い意味深い邂逅になんじゃねーの」

 てっきり死骸だと思っていた虫が、足を動かした。

「深い深い海溝。マリンスノウ、上等じゃねえかっ」

 灼熱になったロザリオがロブちゃんの胸を焼き、タイ焼きの屋台のような臭いがあたりにたちこめる。誰もいないと考えられていた部屋には第三者がいたようで、この状況を前に携帯電話の呼び出し音(エリーゼのために)を止められないようだ。キョウはゆっくりと顔をあげた。内側から発光し始めたロブちゃんが優しく微笑む。

「奥さん、もうこれで最後だ」

 そう、それが弥勒の顕現だった。
 大鳥居の前にあるあの舟屋で、ヤンキーとロブちゃんが戦ってから、ついに56億7000万年が経過したのだ。
 蟻地獄に似た虫が、仮死状態で難局を逃れようとしたヤンキーだと気付いたキョウは、虫をプチっと潰した。そして何も起こらなかった。

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