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Jan 30, 2013

ohne warum

数日前、ヘンリー・ダーガーの生涯に関するドキュメント映画を観た
観終わってからしばらく経って思い出したことがある

フランツ・カフカがミレナに宛てた手紙の中に
「森の中の獣」という表現が出てくる
カフカが文字の中に託した、その自己像を思い出したのだ

しかしそれはあくまで想像された自己像に過ぎず
孤独の極北を夢想したカフカの幻想だ

カフカは、文字の中で森の獣になった
カフカの悟性が、森の獣を夢見た

ダーガーの生涯は、カフカが夢見た孤独そのものだ
ダーガーこそが、文字通り「森の中の獣」であった
そしてダーガーは、言葉を使うことが出来る獣だった
言葉を使うことが出来たから絵を書いたのだ

しかし、こういった「アフォリズムもどき」は虚しい
閉じ込めたつもりの対象は、もうそこにいないから


               *


合目的性は資本の原理と一致する
(金が神に取って代わりえた所以だろう)

合目的性は「意味」を追求し
資本の原理は「価値(貨幣換算が可能な)」を追求する

そこに美が介在する余地はない

構想力と悟性で反省・判断する者(非ー獣)には
美は目的を欠いた合目的性として立ち現れる
獣は、世界と不可分に一体のものとして、それ自身が美だ


               *


ダーガーは言葉を使うことが出来る獣だった
意味も価値も(評価名声も金も)、獣の傍らを通り過ぎた

言葉を使う獣は咆哮し
咆哮の残響は意味と金に変えられた

意味と金に美が介在する余地はない

ダーガーは意味と価値において悲惨であり
そうであるがゆえ、必然的に美しい

予め美の介在する余地のない
意味と価値の交換で成り立つような「アート」など
ゲームして糞でも食らってれば良い

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