レタス包みについて、思い出すことなど
本格的な中華料理を初めて食べたのは
おそらく高校生の時分だったのではないかと思う
神戸の南京町にあるお店だった
当時は兄が神戸に住んでいたこともあり
そのお気に入りの店に家族で何度も通った
給仕のおばちゃんはいつも二階の良い席に案内してくれて
料理のことを質問しても嫌な顔ひとつせず彼是教えてくれた
その店で初めて食べてビックリして
その後何度も繰り返し食べたメニューが幾つかある
レタス包みはそのうちの一つだ
オイスターソースを基調にした味付けで
豚の挽肉と筍や香味野菜などを甘辛く炒め
揚げた春雨と一緒にレタスに包んで食べる
シンプルだけれども、豊かな食感で
とてもレンジの大きな美味しさを楽しめる料理だ
その店以外の店でも何度か食べたのだけれど
どう考えてもその店のものが一番だった
おばちゃんはいつもレタスのおかわりをサービスしてくれた
母親は、すぐに真似をして作るようになり
自分も、早いうちからレパートリーに加えた
何度かの変遷を経て、お店の味からは離れたけれど
自分なりの味に落ち着いてきているように思う
一番大きな変化は、鶏胸肉のミンチを使うようになったこと
最近の傾向としては、タイの調味料をプラスするようになった
*
生姜、冷凍してあった椎茸、筍、セロリを微塵に切り
鶏挽肉と炒め、8割火が通ったら酒を振り
オイスターソース、ナンプラー、シーユーダムで味を決め
強火で水気を飛ばすようにして炒りつける
今回は胡椒などの香辛料は使わず
最後に胡麻油をひと垂らしして香りづけ
この料理を作る時に一番楽しいのは
高めの温度にした油で春雨を揚げる作業
魔術のように一瞬で膨れ上がる春雨を見るのが面白い
芯近くに包丁を入れて剥がしやすくしたレタスを用意し
揚げた春雨を敷いた皿に挽肉炒めを乗せれば
レタス包みの出来上がり
シャキシャキしたレタスの瑞々しい食感に
香ばしい春雨のボリュームと
ガッツのある挽肉炒めの味わいが包まれると
とてもとても「幸福な味」になる
*
件の中華料理屋、最後に行ったのは7年ほど前だろうか
スタッフは完全に代替わりしているようで
おばちゃんの姿は見えなかった
レタス包みは食べなかったけれど
幾つかの料理は、本当にしっかりと味を守っていて
とても嬉しい気持ちにさせてくれた
またそのうちいつか、レタス包みを食べに行こう

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